独立行政法人 情報通信研究機構 新世代ネットワーク研究センター

先端ICTデバイスグループ テラヘルツプロジェクト(神戸研究所)

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)のテラヘルツグループ(神戸研究所)は、1989年の通信総合研究所関西支所(現在では神戸研究所)(*)設立初期から第三特別研究室として発足した研究グループであり,現在では東京都小金井市にある本部の先端ICTデバイスグループテラヘルツプロジェクトの一員として,密接に連携してテラヘルツ波の利活用に関する研究を進めている.

 当テラヘルツグループは設立の経緯から関西地区の各大学との共同研究開発が盛んであり,レーザー技術と試料作成技術を駆使した半導体や超伝導体からのテラヘルツ波放射やテラヘルツ波帯に位置するコヒーレントフォノンの励起の研究開発,イメージング技術開発等を行って来た.一方,物質の指紋スペクトルが存在すると言われるテラヘルツ波帯の分光研究において,広い周波数領域からの情報を得ることは,精度,確度の高い分析のために重要である.関西でのグループ立ち上げ初期から連綿と積み重ねられた実験知識,技術開発をもとに低温成長GaAs基板を利用した光伝導素子によるテラヘルツ波検出では,超広帯域検出にも世界で初めて成功した.この結果をもとに10フェムト(10-14)秒のパルス光が出力される超短パルスレーザーを用いて広帯域テラヘルツ波センシングシステムを制作し,実用に供するに至った(下図).水蒸気の影響を避けるためにテラヘルツ波発生,検出部は真空密閉が行われ,試料室を窒素パージすることが可能であり,現在15THzまでの測定が可能となっている.

 これまでの研究を様々な形でご支援いただいた,グループのメンバー,共同研究者の方々にこの場を借りてお礼申し上げます.

(*)神戸研究所は兵庫県神戸市と明石市とにまたがって位置し,ナノICTグループ,バイオICTグループを中心に,自然に恵まれた研究環境のもと,情報通信のための基礎研究を行っている. (文責:齋藤 伸吾 http://www2.nict.go.jp/w/w113/thz/jp/main.html )